2022/10/30 10:51
今日はこれからの時期の主役で、当店でリピート率の高い出汁乾物類から、鰹節の話をしてみようと思います。店頭で鰹節を説明させて頂いていつも感じるのは、鰹節の原料の違いを理解されていない方が多いという事です。これは販売者に責任があると思うので、素人ながら出来るだけわかりやすいポイントで分けて、違いを説明してみようと思います。まずは原料になる鰹そのものの違いです。鰹の漁法は大きく分けて、群れごと網で囲んで効率よく捕まえる「巻き網漁」と、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが「一本釣り漁」がございます、品質の観点から違いを説明すると、巻き網漁は群れごと網で引き上げる過程で鰹が暴れてストレスがかかる為、細胞組織的な話になるのでココでは割愛しますが、著しく品質は下がります。一方の近海でおこなわれる一本釣り漁ですと、巻き網漁のような影響も鰹にかからず、近海で有れば移送中に程よく熟成度がまして、より旨味の強い鰹節の原料になります。次は製造工程の違いです。鰹節の製造工程はまず原材料の鰹の頭と内臓部を取り除き、煮て骨を除き、燻して乾燥させた状態のモノを「荒節」と呼び、一般的に花かつおとして量販店様で購入出来るものの原料は、ほぼこのような工程の荒節の状態のモノで有る事が多いです。当店でも一番販売量の多い商品は「華かつお」という荒節のモノです。当店の「華かつお」は原料を一本釣りのモノに限定して、工場での機械製造ではありますが削る速度を落として削っているモノで、より薫りの高い鰹節に仕上がっている料理屋さん向けの規格の中で一番品質の高い「荒節」です。その為か普段からお出汁を取られている方はすぐに違いがわかるようで、非常にリピート率も高い人気商品です。ここからはある程度の年齢層の方であれば、一度はお正月に削ったことがある昔懐かしい本来の鰹節である、「枯れ節」のお話です。製造工程といたしましては先ほどの燻して乾燥させた荒節の表面のタール部分を削り、カビ付け作業を施し乾燥する作業を二回以上行ったものになります。さらにこの工程を繰り返し行い時間をかけて熟成させたものを「本枯れ節」と呼びます。この本枯れ節になるまでには、半年近くの時間を要し乾燥とカビ菌の発酵の力を借りながら水分量を取り除きあの硬い旨味の塊になるわけです。次は部位による特徴の違いです。鰹節にすると比較的削りやすく、上品な香りと旨味が特徴の鰹の背中側を「雄節」対して、脂肪分が多くより強い旨味と香りの鰹の腹側を「雌節」と呼びます。昔は結婚式の引き出物の中に「夫婦節」として、必ず入っていたかと思います。ココまで鰹節のそれぞれの違いを説明してきましたが、ご紹介する身としては商品としては一長一短で、用途に応じてそれぞれ向き不向きがあるので、可能な限り原料の特徴を生かした商品化で、使い分けしやすいように種類をご用意させて頂いております。個人の御客様を想定した商品紹介なので、行き届かない部分も大いにございますが、今後ともどうぞご贔屓に宜しくお願い致します。